うどんのだしの東西の違いは? 関東は濃い色、関西は淡い色のつゆ、しょうゆと昆布とかつお節の話
公開 文: Katsunori

うどんのつゆは、東と西で色も味も違うといわれます。関東は濃い色のつゆ、関西は透き通った淡い色のつゆ。この違いは、どこから来ているのでしょうか。
この記事では、しょうゆの業界団体、日本昆布協会、国立国会図書館、文部科学省、農林水産省の資料と、カップうどんを作る会社の説明をもとに、うどんのだしの東西の違いを紹介します。
こいくちと、うすくちのしょうゆ
全国の 8 割以上は、こいくち
しょうゆの業界団体などが運営する「しょうゆ情報センター」によると、こいくちしょうゆは、全国のしょうゆ出荷量の約 84% を占める、最も一般的なしょうゆです。
うすくちしょうゆは「淡口」と書き、関西で生まれた色の淡いしょうゆで、出荷量の約 13% を占めます。素材の持ち味を生かすため、色や香りを抑えています。
うすくちの方が、塩分は高い
うすくちという名前から、塩分も低いと思われがちですが、実際はやや高めです。しょうゆ情報センターは、色や香りがつきすぎないよう、食塩をこいくちより 1 割ほど多く含むためだ、と説明しています。
文部科学省の「日本食品標準成分表」でも、100g あたりの食塩相当量は、こいくちしょうゆが 14.5g、うすくちしょうゆが 16.0g です。
関西のつゆの色が淡いのは、うすくちしょうゆを使うことが理由のひとつです。色が淡くても、塩分が少ないとはかぎりません。

昆布は北前船で大阪へ
「天下の台所」大阪に届いた昆布
日本昆布協会によると、北海道の昆布は、北前船を使い、下関から瀬戸内海を通る西廻りの航路で、商業の中心地だった「天下の台所」大阪まで直接運ばれるようになりました。
同じ協会は、関東地方はこの「こんぶロード」の到達が遅かったため、全国的に見て昆布の消費量が少ない地域になっていると説明し、地域による昆布の食べ方の違いは、こんぶロードの歴史と関係がある、と書いています。
かつお節は紀州・土佐から
国立国会図書館の電子展示「本の万華鏡」は、いまのかつお節に近いものが作られるようになったのは 17 世紀の終わりごろで、江戸時代前期(17 世紀後半)には大坂にかつお節の問屋ができ、紀州や土佐から仕入れて大坂や京都に届けていた、と紹介しています。
関西でもかつお節は使われてきました。関東はかつお節、関西は昆布と、きれいに分かれるわけではありません。
境目は関ヶ原? カップうどんの東西の味
どん兵衛は、関ヶ原で分けた
日清食品の「日清のどん兵衛」は、東日本向けと西日本向けでつゆの味を分けています。公式サイトによると、発売当時、東西の境目がどこにあるかはっきりした文献がなかったため、開発担当者が新幹線のこだまに乗って、ひと駅ごとに駅や駅の周りの店でうどんを食べ歩き、味の境目は関ヶ原にあると突き止めて、販売地域を決めました。
いまの商品ページでは、東のきつねうどんは「鰹と宗田鰹の重ねだし」の色の濃いつゆ、西のきつねうどんは「鰹と昆布の重ねだし」の淡い色のつゆで、どちらにも本枯節の粉末を配合しています。販売地域は、西のつゆが富山県、石川県、福井県、滋賀県、奈良県、和歌山県から西、東のつゆが新潟県、長野県、岐阜県、愛知県、三重県から東です。北海道には、さらに別の「北のつゆ」があります。
赤いきつねも、東と西で違う
東洋水産の「赤いきつねうどん」も、地域でつゆを分けています。公式サイトによると、東向けのつゆは「鰹節と昆布のだし」、西向けのつゆは「昆布・鰹節・煮干・雑節のだし」を利かせたものです。
赤いきつねは、東も西もかつお節と昆布を使い、西にはさらに煮干しや雑節を加えています。どん兵衛は、東がかつおと宗田がつお、西がかつおと昆布です。東西の分け方は商品によって違いますが、どちらの会社も、関西向けのつゆに昆布を使っています。
讃岐うどんは、いりこだし
東西のほかに、うどんのだしで忘れてはいけないのが、香川県のいりこ(煮干し)です。農林水産省の「うちの郷土料理」は、瀬戸内海でとれるいりこからは濃厚でうまみの強いだしがとれ、香川県では、讃岐うどんをはじめ、さまざまな家庭料理にいりこだしが使われている、と紹介しています。
讃岐うどんの食べ方はかけ・ぶっかけ・釜揚げ・釜玉のちがいの記事で、関西のうどんは大阪のきつねうどんの記事や京都のうどんの記事で紹介しています。
つゆの色を記録する
一玉 うどんログでは、食べた一杯の写真と感想を記録できます。旅先で食べたうどんのつゆの色や、だしの感想を書き留めておくと、東と西の違いが自分の記録で見えてきます。
参考にした資料
- しょうゆの種類(しょうゆ情報センター)
- こいくちしょうゆ・うすくちしょうゆ(文部科学省 食品成分データベース、日本食品標準成分表(八訂)増補 2023 年)
- 昆布の歴史(日本昆布協会)
- 本の万華鏡 第 17 回 日本のだし文化とうま味の発見(国立国会図書館)
- 日清のどん兵衛 東西でぜんぶ違う!おいしさの秘密・きつねうどん 東・きつねうどん 西(日清食品)
- 赤いきつねうどん 東・西(東洋水産)
- いりこ飯 香川県(農林水産省 うちの郷土料理)
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