大阪のきつねうどん 発祥とされる店と「きつね」「たぬき」の呼び名のちがい
公開 文: Katsunori

大阪でうどんといえば、まず名前が挙がるのがきつねうどんです。昆布などでとっただしに、甘辛く煮た油揚げをのせた一杯です。
この記事では、農林水産省の郷土料理データベース「うちの郷土料理」や新聞記事をもとに、大阪のきつねうどんの特徴と、発祥とされる店の話を紹介します。
大阪のきつねうどんとは
「うちの郷土料理」は、大阪府のきつねうどんを次のように説明しています。
- 真昆布と鯖節(さばぶし)などの雑節を中心にとっただしを利かせたつゆを、うどんにかける
- その上に、甘辛く煮た油揚げをのせる
- 大阪府民がもっとも愛するうどん料理といわれる
雑節は、さば節など、かつお節以外の節のことです。
同じページは、大阪のうどんについて「だしに馴染む、太すぎないもっちりとした食感」が特徴だと書いています。
大阪とうどんの古いつながり
「うちの郷土料理」によると、豊臣秀吉が大坂城を築いたころ、砂場と呼ばれた場所にうどん店やそば店が並んだと記されています。大阪では古くから麺類の店が身近にあったことがうかがえます。
発祥とされる船場の店
きつねうどんの始まりとしてよく紹介されるのが、大阪・船場のうどん店の話です。
「うちの郷土料理」は、明治 26 年(1893 年)、船場のうどん店「松葉家(現・うさみ亭マツバヤ)」で、添え物として出した油揚げを客が素うどん(具のないうどん)にのせて食べたことが、きつねうどんの始まりといわれる、と書いています。
日本経済新聞の 2013 年の記事では、同店の三代目が、はじめは「こんこんうどん」と呼んでいたと話しています。すし店で修業した創業者が、いなりずしから着想を得て、うどんと油揚げを別々に出していたそうです。
発祥の話は店や資料が伝えるもので、ほかの説を否定できるほどの記録があるわけではありません。ここでは「発祥とされる店」として紹介します。
「きつね」と「たぬき」は土地で意味が変わる
きつねうどんを語るとき、よく話題になるのが「たぬき」の意味です。同じ名前でも、地域によって出てくるものがちがいます。
| 地域 | きつね | たぬき |
|---|---|---|
| 関東 | 油揚げをのせたうどん・そば | 揚げ玉(天かす)をのせたうどん・そば |
| 大阪 | 油揚げをのせたうどん | 油揚げをのせたそば |
| 京都 | 刻んだ油揚げをのせたうどん | 刻んだ油揚げのうどんをあんかけにしたもの |
日本経済新聞の記事と、日本気象協会の tenki.jp のコラムをもとに整理しました。店によって呼び方が異なることもあります。
大阪に「たぬきうどん」がない理由
日本経済新聞の記事は、辻調理師専門学校の教授の話として、たぬきは江戸時代後期に関東で生まれたと紹介しています。そのうえで、関東のたぬきが関西に広まらなかったため、「きつねがうどんなら、たぬきはそば」という考え方で、油揚げをのせたそばを「たぬき」と呼ぶようになった、という説を紹介しています。
tenki.jp のコラムも、大阪では「たぬきうどん」そのものが存在しないと書いています。大阪の店で「たぬき」を頼むと、油揚げののったそばが出てくると考えておくとよさそうです。
京都では「化けて」たぬきになる
京都のきつねうどんは、大阪とは見た目が異なります。日本経済新聞の記事によると、京都では油揚げを細く刻み、ねぎと一緒にのせます。これにあんをかけると、「きつねが化けてたぬきになる」ことから「たぬき」と呼ぶそうです。
京都のうどんについては京都のうどんで詳しく紹介しています。
きつねうどんを出す大阪の店
大阪の多くのうどん店がきつねうどんを出しています。ここでは、老舗として公式サイトや報道で歴史が示されている 2 店を紹介します。
うさみ亭マツバヤ(大阪市中央区)
「うちの郷土料理」で、きつねうどん発祥とされる店として紹介されている店です。明治 26 年創業で、南船場にあります。ぐるなびの記事(2017 年)では、冬の名物として南部鉄の鍋で出す「おじやうどん」も紹介されています。同じ記事によると、だしには利尻昆布を使い、削り節は本鰹・メジカ・鯖を毎朝店でひいているそうです(記事掲載時点)。食べログの「うどん WEST 百名店 2024」にも選ばれています。
道頓堀今井 本店(大阪市中央区)
公式サイトによると、昭和 21 年(1946 年)創業の店です。きつねうどんを定番の品として掲げ、だしには北海道産の天然真昆布と、九州産のさば節・うるめ節を使うと説明しています。コクとうまみがありながら、上品な薄味に仕上げただしだと紹介しています。
食べた一杯を記録する
同じきつねうどんでも、油揚げの甘さやだしの濃さは店ごとにちがいます。一玉 うどんログでは、食べた一杯の写真と、コシ・ダシ・ネギの好みを記録できます。大阪の店めぐりのメモにも使ってみてください。大阪のほかのうどん店は大阪のうどん人気店で紹介しています。
参考にした資料
- きつねうどん 大阪府(農林水産省 うちの郷土料理)
- きつねそば・たぬきうどん、なぜ大阪にはない?(日本経済新聞、2013 年 3 月 2 日)
- キツネとタヌキのうどんとそばが、京都と大阪で違いすぎる!(tenki.jp、日本気象協会、2016 年 7 月 2 日)
- 大阪にあった!「きつねうどん発祥の店」に見る、店には通わないとわからない「だし」の味(dressing、ぐるなび、2017 年 1 月 2 日)
- 道頓堀今井(道頓堀今井 公式サイト)
- 食べログ うどん WEST 百名店 2024(食べログ、2024 年)
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