「手打」「手打風」の違いは? うどんの袋の表示の決まり、生・ゆで・半生と「本場」の条件
公開 文: Katsunori

スーパーのうどんの袋には、「手打」「手打風」「半生」など、いろいろな言葉が書かれています。これらの言葉には、業界のルールで使える条件が決められています。
この記事では、「生めん類の表示に関する公正競争規約」と、農林水産省の規格、業界団体の説明をもとに、うどんの表示の決まりを紹介します。
公正競争規約とは
「公正競争規約」は、景品表示法にもとづく業界のルールです。全国公正取引協議会連合会は、表示や景品について、内閣総理大臣と公正取引委員会の認定を受けて定めるものだと説明しています。
生うどんやゆでうどんなどの「生めん類」については、「生めん類の表示に関する公正競争規約」があります。この規約を運用しているのは、全国生めん類公正取引協議会です。規約は、それに参加する事業者のためのルールです。規約に参加していない事業者にも、食品表示法や景品表示法は同じように適用されます。以下は、この規約の決まりです。
「手打」と「手打式」「手打風」の違い
「手打」は、すべて手作業
規約は「手打」を、こう定めています。
製めんに際し、原料に加水して麩質(グルテン)が形成するように混練し、熟成させた後、延棒で圧延し、包丁でめん線状に裁断すること(中略)であって、その工程をすべて手作業により行うことをいう。ただし、混練工程のみ機械で行うことができる。
生地を混ぜて練る工程だけは機械を使ってもよく、それ以外の、のばす・切るといった工程はすべて手作業で行ったものが「手打」です。
「手打式」「手打風」は、機械も使う
「手打式」と「手打風」は、生地の方向が交錯するように、ゆっくりとした方法でのばし、包丁や手切りに近い薄い刃で切るもので、その工程の全部または一部を機械で行うもの、と定められています。機械を使っても、この条件を満たせば「手打式」「手打風」と書けます。
まぎらわしい表示は禁止
規約は、この条件を満たさないふつうの機械で作った生めんに、手打・手打式・手打風と誤解されるような表示をすることを禁じています。手打式や手打風の生めんに、手打と誤解されるような表示をすることも禁じています。
生・ゆで・むし・半生
規約は、生めん類を「小麦粉等の穀粉類を主原料として製めん、成形したもの」と、それを「ゆで」「むし」「油揚げ」「半なま」「冷凍」の工程にかけたものと定めています。袋には、品名とあわせて「なま(生)」「ゆで」「むし(蒸し)」「半なま(半生)」の別を書くことになっています。
規約は、こうした区分を、水分の量の数字ではなく、どんな工程を経たかで分けています。それぞれの栄養の違いはうどんのカロリーと栄養の記事で紹介しています。
「本場」「名産」と書ける 10 品目
「本場」「名産」「特産」「名物」といった言葉にも決まりがあります。規約は、これらの表示は、その土地で作られ、その土地の伝統的な特徴をそなえたもので、施行規則の別表に基準があるものに限る、としています。
規約の別表に載っているのは、次の 10 品目です。
- さぬきうどん
- 信州そば
- 札幌ラーメン
- 出雲そば
- 長崎チャンポン
- 長崎炒麺
- 沖縄そば
- 名古屋きしめん
- 甲州ほうとう
- 盛岡冷めん
全国製麺協同組合連合会は、規約の上では、これ以外のものには本場、特産などの表示はできないと説明しています。
「さぬきうどん」の基準
別表の「さぬきうどん」の基準は、香川県内で作られたもの、手打または手打式(風)のもの、加水量が小麦粉の重さの 40% 以上、食塩が小麦粉の重さの 3% 以上、熟成時間が 2 時間以上、ゆでる場合はゆで時間約 15 分で十分にアルファ化(でんぷんが糊のようになること)していること、です。さぬきうどんの基準は香川はなぜ「うどん県」?の記事でも紹介しています。
乾麺の「手延べ」は、食品表示基準と JAS で決まる
乾麺は生めん類の規約の対象外で、「手延べ」と表示できるかどうかは、消費者庁の「食品表示基準」で決まります。食品表示基準は「手延べ干しめん」を、食用の植物油、でんぷん、または小麦粉を塗って、よりをかけながら順に引きのばして乾燥させた干しめんで、製めんの工程で熟成が行われ、麺を引きのばす工程(小引き工程または門干し工程)を手作業で行ったもの、と定めています。
さらに、JAS マークを付ける手延べの乾麺には、農林水産省の「手延べ干しめん」の日本農林規格(JAS)の、次のような追加の条件があります。
- 小麦粉に対する食塩水の割合が 45% 以上
- 小引き工程から門干し工程までの間の、麺を引きのばす作業をすべて手作業で行う
- 決まった時間以上の熟成をとる(混ぜてから、よりをかけるまでに 6 時間以上。長径 1.7mm 以上の麺は 3 時間以上。そのあとの工程にも熟成の時間の決まりがある)
乾麺のうどん・ひやむぎ・そうめんの太さの決まりは、うどん・ひやむぎ・そうめん・きしめんの違いの記事で紹介しています。
お店のうどんは、どうなっているか
この規約は、袋の表示だけでなく、チラシや広告の表示も対象にしています。一方で、規約は「食堂で顧客に提供するために調理しためん類」を、生めん類の定義から外しています。店で出されるうどんのお品書きは、この規約の対象ではありません。
食べた一玉を記録する
一玉 うどんログでは、店で食べた一杯だけでなく、スーパーで買った生うどんやゆでうどんを家で食べた一玉も記録できます。袋の「手打」「手打風」「半生」などの表示を書き留めておくと、食べ比べの手がかりになります。
参考にした資料
- 生めん類の表示に関する公正競争規約・同施行規則(全国生めん類公正取引協議会)
- 公正競争規約とは・公正取引協議会・公正競争規約一覧(全国公正取引協議会連合会)
- 生めん類の表示 不当表示の禁止(全国製麺協同組合連合会)
- 乾めん類に関する個別品目ごとの表示ルールの見直しの検討について(消費者庁 食品表示課、2025 年 6 月。食品表示基準の乾めん類の条文を掲載)
- 手延べ干しめん JAS 1189:2024(農林水産省)
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