名古屋の味噌煮込みうどんときしめん 麺・味噌・土鍋と名前の由来
公開 文: Katsunori

名古屋には、うどんの名物が 2 つあります。赤茶色のつゆを土鍋で煮立てる味噌煮込みうどんと、薄く平たい麺のきしめんです。
農林水産省の「うちの郷土料理」は、味噌煮込みうどんを「きしめん」と並ぶ愛知県の代表的な麺料理と紹介しています。この記事では、公的な資料と店の公式情報をもとに、2 つの違いと代表的な店を紹介します。
味噌煮込みうどんの特徴
塩を使わない、煮込み用の麺
味噌煮込みうどんの麺は、ふつうのうどんと作り方が違います。農林水産省の説明では、小麦粉と水だけで作り、塩を使いません。そのため、煮込んでも柔らかくなりにくく、コシが残るとされています。
名古屋市の公式観光サイト「名古屋コンシェルジュ」も、土鍋に麺を直接入れて火にかけるため、塩水ではなく真水で打った煮込み専用の麺を使うと説明しています。独特の噛みごたえがあるのはこのためです。
豆味噌のつゆ
つゆには豆味噌を使います。豆味噌は、大豆を主な原料にした味噌です。農林水産省は、岡崎市の八帖町(岡崎城から八丁、約 870m の場所)が発祥の八丁味噌が使われると紹介しています。長い期間をかけて発酵・熟成させるのが特徴で、濃い味と色になります。
名古屋コンシェルジュは、煮込んでも風味が損なわれない豆味噌の特性を生かした郷土食だと書いています。店によっては、赤味噌に白味噌などを合わせています。
土鍋で煮込む
もう一つの特徴が土鍋です。保温性が高く、最後まで熱い状態で食べられます。農林水産省によると、食べ進むうちに麺の食感が変わっていくのも楽しみの一つです。
具は、油揚げ・鶏肉・かまぼこ・ねぎが一般的で、最後に卵を割り入れます。食べ終わったあとに、ご飯を入れておじやにすることもあるそうです。
いつから名古屋の味に?
農林水産省の資料では、もとは家庭料理で、明治時代には一宮市の飲食店で出されていたとされ、その後名古屋市を中心に広まったと紹介されています。
きしめんの特徴

薄く平たい麺
きしめんは、麺を薄く平たく伸ばしたうどんの一種です。農林水産省は「厚さ 1mm、幅 7 から 8mm ほど」と紹介しています。乾麺については、日本農林規格(JAS)で幅 4.5mm 以上、厚さ 2mm 未満と決められていると、名古屋コンシェルジュが説明しています。
麺が薄いと、口に入れたときに味を薄く感じます。そのため、つゆはしっかりした味付けにする必要があったと、農林水産省は書いています。
つゆと具
名古屋コンシェルジュによると、つゆはたまりじょうゆをもとに、宗田(そうだ)カツオやムロアジでだしを取るのが一般的です。具は油揚げ・かまぼこ・青菜・花かつおが基本です。夏には、麺もつゆも冷たくした「ころ」も食べられています。
名前の由来には諸説ある
「きしめん」という名前の由来は、はっきりしていません。製麺会社の宮きしめんは、次の 3 つの説を紹介しています。
| 説 | 内容 |
|---|---|
| きじ肉説 | きじ肉を使った麺だったから |
| 紀州説 | 紀州(いまの和歌山県など)の人が作った麺だから |
| 碁石説 | 碁石(棊子)の形の麺だったから |
宮きしめんは、3 つめの碁石の形の説が有力と考えています。農林水産省も、小麦粉を練って平たく伸ばし、碁石の形に抜いてゆでた中国の食べ物「棊子麺(きしめん)」からきているという説を紹介しています。あわせて、いまの刈谷市の名物だった平打ちうどん(ひもかわ)がルーツとされているとも書いています。
代表的な店
ここでは、名古屋市の公式観光サイトで紹介されている店や、公式サイトで創業年を示している老舗、報道で取り上げられている店を選びました。営業時間や定休日は変わることがあるので、訪問前に各店の公式情報を確かめてください。
味噌煮込みうどん
- 山本屋総本家(名古屋市中区ほか): 公式サイトによると、大正 14 年(1925 年)に名古屋・大須で創業。名古屋コンシェルジュの麺の特集でも紹介されています。
- 山本屋本店(名古屋市ほか): 会社概要によると明治 40 年創業。公式サイトでは、小麦粉と真水だけで作る麺、赤味噌と白味噌を合わせた味噌、専用の伊賀土鍋を使うと紹介しています。
名前が似ていますが、2 つは別々の公式サイトを持つ店です。
きしめん
- 宮きしめん 神宮店(名古屋市熱田区): 1923 年創業の製麺会社が、熱田神宮の境内で営む店です。1970 年に熱田神宮に店を構えたのを機に、「宮きしめん」の名を使うようになったと公式サイトにあります。
- きしめんよしだ エスカ店(名古屋市中村区): 名古屋コンシェルジュによると、明治 23 年創業。自社工場から届く生きしめんを使っています。名古屋駅の周辺にある店です。
- 住よし(JR 名古屋駅のホーム): 駅のホームにある立ち食いのきしめん店です。CBC テレビのウェブマガジン(2024 年 1 月)は、名古屋駅の新幹線ホームや在来線ホームなどに店があり、注文から約 25 秒で出てくると紹介しています。乗り換えの合間に寄れる店です。
名古屋の一杯を記録する
一玉 うどんログでは、食べたうどんを写真と一緒に一杯ずつ記録できます。味噌煮込みときしめんを食べ比べたら、それぞれの一杯を残しておくと違いを振り返りやすくなります。讃岐うどんとの違いが気になる人は、かけ・ぶっかけ・釜揚げ・釜玉のちがいもどうぞ。
参考にした資料
- 味噌煮込みうどん 愛知県(農林水産省 うちの郷土料理)
- きしめん 愛知県(農林水産省 うちの郷土料理)
- 名古屋へ来たらはずせない。なごやめし(名古屋市観光情報「名古屋コンシェルジュ」)
- 寒い冬に食べたいなごやめし 麺特集(名古屋市観光情報「名古屋コンシェルジュ」)
- きしめんよしだエスカ店(名古屋市観光情報「名古屋コンシェルジュ」)
- きしめんの起源(宮きしめん)
- 山本屋総本家 公式サイト(山本屋総本家)
- 会社概要・こだわり(山本屋本店)
- 注文から提供まで約25秒!? 駅のホームで食べられる名古屋名物「きしめん住よし」のおいしさの秘密とは?(CBC MAGAZINE、2024 年 1 月 11 日)
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